こんにちは!こがらし時計店店長の小林です。
今回紹介するのが、“航海のための時計“であるROLEX「ヨットマスター」のオマージュウォッチPARNIS PA6079となります。
ヨットマスターの歴史
これまでダイバーズ向けのサブマリーナやパイロット向けのGMTマスター、ミルガウスやエクスプローラーと等、各々の分野の“プロ“に向けて時計を製造してきたROLEX。ヨットマスターは、他の時計と少し違ったコンセプトで、ヨットやクルージングをするいわば“お金持ちのための時計“として作られました。1992年に発売された金無垢の初代モデル以降多種多様なカラーを展開し、異色の高級感から多くの人を魅了してきました。
ハイエンドな位置付けで、特に高級感にこだわって作られたヨットマスターは、初代モデル以降一度もオールステンレスモデルを採用しておらず、ROLEX初の「ラグジュアリースポーツウォッチ(通称“ラグスポ”)」として位置づけられています。
そんなヨットマスターの定価は約140万円。
オマージュウォッチであれば1万円台で購入できますが、「安っぽく見えるのでは?」と思ってしまう方もいるかと思います。そんな疑問を解決するべく、PARNIS社製PA6079。詳細に渡ってお伝えします。
PARNIS PA6079の実機紹介
セラミックベゼル
本機はヨットマスター同様、オールステンレスモデルではなく、回転ベゼルについてはセラミックで作られています。
安価にすることを優先したり細部までこだわらないメーカーであればステンレス素材にしてもおかしくないのですが、PARNIS社はその点もしっかり力を注いでくれました。
もともとセラミック素材は高輝度で有名なのですが、輝きを支えるようにベゼル上の数字やメモリはエンボス加工が施され立体的になっています。
光沢のあるポリッシュ仕上げを施しているため、マットな質感のベゼル表面との対比が非常に美しく、陽光のもとで身につけると数字やメモリがキラキラと輝いて見え、よりくっきりと浮き出て見えます。
両方向回転
ヨットマスター同様、ベゼルは両方向回転式。
逆回転防止ベゼルではなく両方向回転にしたのは、クルージング向けの用途やラグスポという位置付け故かなと思っています。
というのも、逆回転防止ベゼルはサブマリーナでいうとダイビング時の経過時間をひと目で把握するため一方向のみの回転(逆回転した場合、潜水可能時間を超過してしまう)としていますし、GMTマスターでいうと正確な海外の時間が把握できなくなるなど、誤って逆回転してしまうと支障が大きいものに使われているからです。
ヨットマスターも「セーリング時間の計測を容易にするため」と謳ってはいますが、やはり高級路線ならではの扱い易さや気概の側面が強いでしょう。
心地の良い青
文字盤は目を惹く暗青。視認性をあげるために反射のしにくいマットな文字盤になっています。これがとても優秀で、夏の陽光のもとでも文字盤に無駄なテカリがないうえに明暗のコントラストはくっきり出る。高級感があるのに爽やかな印象も与えてくれるわけです。
赤い秒針もおすすめしたい点。反対色の赤を使用しているため視認性が良いのはもちろんのこと、ただただ美しいですね。
文字盤下部の「AUTOMATIC」にも赤を使用しているため全体的な統一感が図られている点も好きな部分です。
3連ベルト
ベルトは3連のステンレスベルト。両端はサテン仕上げのマットな印象ですが、中央は鏡面仕上げのポリッシュ加工が施されています。
PD1682(エクスプローラーⅡオマージュ)のように全てをサテン仕上げにするという選択肢もあったかと思いますが、中央ポリッシュの方がより高級感が出る。高級感を追求するあまりPD1645(デイトジャストオマージュ)のような5連ジュビリーベルトにするとギラつきすぎてしまう。
ラグジュアリーとスポーティーのど真ん中を射抜くデザインに感じられます。
こう全体を見渡すとやはり青の文字盤が美しいですね。近年青の文字盤が流行っているのですが、やはり単純に格好良いですよね。
安定のオイスターケース
裏蓋はスクリューバック式のオイスターケース。
もともとオイスターケースは防水力を堅持するために存在しているのですが、潜水に使用しない私のような人にはあまりいらない機能だったりします。
私自身は裏蓋がスケルトンでムーブメントが見える時計の方が好きなため、少し残念なポイントでした!笑
ムーブメントは安心の日本製「御代田8215」
「1人でも多くの人の手に、良質な腕時計を」
MIYOTAは、世代を超えた不変の価値を提供し続けます。
https://miyotamovement.com/jp/about/
この理念の通りムーブメントの製造に力を入れており、「安価で高精度」な物を製造する能力に長けています。当ストアで取り扱っている時計の多くが御代田ムーブメントで、日本製のため安心してご購入いただく方が多いです。
また、機械式時計を持つ以上3~5年に一度オーバーホールをしなければなりませんが、パーツを組み替えたり修理せずにムーブメントを丸々変えるといったこともできます。御代田8215ムーブメントは数千円で購入できるためオーバーホールも非常に安く済むためメリットだらけの製品です。
40mmの信頼感
実際に手に着けた状態です。私は手首が細いため(15.5cm)ベルトを上下3個ずつ外して調整しました。
本機は40mmのステンレススチール製で、そのサイズから想像されるよりも若干ではありますが大きく感じました。きっとベゼルの幅が厚くインパクトがあるという点に影響されているのでしょう。
世の中の時計は雑誌で見た時やディスプレイに並んでいる時、あるいは手に持っている時、その佇まいは素晴らしいものです。しかし手首に着けた瞬間、その幻想が一気に崩れてしまうことが往々にしてあります。
本機でいうと少し大きくは感じたものの、視覚的な“錯覚“のせいで、実際は40mmという安心感抜群のケースサイズとなっています。
若い方が身につけると爽やかな時計に見え、ベテランの方は高級感がある。身につける人により見え方が違うお洒落な時計なのではないでしょうか。